2025.12.28
【勉強会レポート】有機のタネから、未来の食を考えるグリーンフィールドプロジェクト
先日ムスビガーデンでは、
株式会社グリーンフィールドプロジェクト 松崎社長、大山さんをお迎えし、
社員向けに「種と食の未来」をテーマとした勉強会を開催しました。
私たちが日々扱っている有機野菜や食品。
そのすべての始まりである「種子」について、
歴史から最新の農業動向まで、深く学ぶ時間となりました。

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グリーンフィールドプロジェクトとは
グリーンフィールドプロジェクトは、
神奈川県厚木市に拠点を置き、日本でいち早くヨーロッパの有機認証を取得した有機種子の輸入・販売を行ってきた企業です。
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現在は、
・神奈川県厚木市
・長野県上伊那郡辰野町(地域おこし協力隊募集中)
に自社圃場を持ち、
国内外の有機種子を独自の基準で選び、普及に取り組んでいます。
また、日本の固定種を未来に残すための
「SAVE THE SEED(セーブ・ザ・シード)」プロジェクトを立ち上げ、
国産有機種子の生産にも力を注いでいます。
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種と食の歴史
人類が農耕を始めたのは、約BC8000年。狩猟採集から農耕生活へと移行しました。
当時は、
一人の農家が自分自身を養うために100%の力を使う時代。
それが江戸時代中期には、
一人の農家が約5人分を支えるようになり、
現代では、統計上一人の農家が約100人分の食を生産する社会になっています。
この背景にあるのが、
農業の近代化・機械化です。
では、「種」はどう変わってきたのでしょうか。
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トウモロコシに見る、種と人間の関係

勉強会では、トウモロコシを例に種の変遷が紹介されました。
もともと野生のトウモロコシは、
粒がむき出しで、自然に地面へ落ち、発芽していました。
しかし現在のトウモロコシは、
人間が皮をむかないと種が残れない植物です。
つまり、
トウモロコシは完全に「人間に依存する作物」になったのです。
それでもトウモロコシが何千年も生き残ってきたのは、
人間が「おいしい・たくさん採れる」
という都合のよい特徴を選び続け、改良してきたからでした。
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野生種と栽培種の違い
◎野生種・・・
風や水、虫や動物に種を運んでもらい、自然の循環の中で生きる
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◎栽培種・・・
人間が選び、管理し、育ててきた植物(BC8000年以降)
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人間は長い歴史の中で、
「自然に起こった突然変異」を見つけ、活かしながら作物を育ててきました。
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■ 固定種・F1種・遺伝子技術の登場
◎固定種・・・代々種を採り続け、性質が安定している品種
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◎F1種(ハイブリッド)・・・1920年代頃から欧米で普及。1代目は収量・品質が揃うが、2代目以降は性質がばらつく。
F1種そのものが悪いわけではありません。
しかし近年は、
自然界では起こらないレベルの人為的な突然変異が化学技術や放射線などを用いて作られるようになってきました。
1990年代には遺伝子組み換え(GM)、近年ではゲノム編集といった技術も登場しています。
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有機種子という選択肢
こうした流れの中で、
1970年代に欧米で広がり始めたのが「有機種子」です。
有機栽培を行うなら、
「有機のタネから育てるのが自然ではないか」という考え方が広がっていきました。
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有機種子とは
以下の条件を満たす種子です。
• 化学合成農薬・化学肥料を使用していない
• 採種後に化学的な種子消毒をしていない
• 遺伝子組み換えでない
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世界の有機種子市場は、
現在約4,500〜6,000億円規模とされ、今後5年で1兆円規模に成長すると予測されています。
日本でも
「みどりの食料システム戦略」のもと、有機農業の拡大が進められています。

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私たちが、いま「種」を学ぶ意味
私たちは、
日々の食や暮らしの多くを、植物――そのはじまりである種子に支えられて生きています。
けれど、種子の世界はとても見えにくく、
普段の生活の中で意識する機会は、そう多くありません。
今回の勉強会を通して、
「どんな種を選ぶのか」という小さな選択が、未来の農業や食文化、そして環境へとつながっていることを、改めて実感しました。

また当日は、
和野菜と西洋野菜の違いや背景、
各店舗で取り扱っている栽培キットについてなど、
日々の売場やお客さまとの会話にも活かせる学びが、随所に散りばめられていました。
ムスビガーデンとしても、
こうした学びを日々の仕事に落とし込みながら、次の世代へとつながる選択を、これからも主体的に続けていきたいと思います。