【見学】兵庫県・足立醸造|木桶に生きる伝統の技

むすぶ取り組み

店舗外観 オリーブ 鳥
【見学】兵庫県・足立醸造|木桶に生きる伝統の技

2025.08.04

【見学】兵庫県・足立醸造|木桶に生きる伝統の技

代表:足立裕さん訪 問先:足立醸造 場所:兵庫県多可郡多可町

ムソー×足立醸造|木桶仕込みの国産有機濃口醤油

足立醸造

兵庫県多可郡多可町。自然豊かなこの土地で、明治22年(1889年)に創業した「足立醸造」は、今もなお“伝統の木桶仕込み”にこだわり続ける数少ない醸造蔵です。

今回見学に伺い、代表の足立裕さんの「麹づくりから瓶詰めまで、すべて自社で行う一貫製造を大切にし、誇りを持っている」という強い熱意を感じました。兵庫県内でもそのような蔵は数えるほどしかなく、とりわけ木桶を使い続けているところはさらに希少です。

代表の足立裕さん

代表の足立裕さん

なぜ「木桶仕込み」なのか?

現在、日本の醤油づくりの99%以上は、ステンレスやプラスチック製のタンクで行われています。そんな中、足立醸造は100%木桶仕込みにこだわり、微生物が棲みつきやすい「桶の木肌」を活かして、ゆっくりと発酵・熟成を進めています。

実は戦前までは、木桶が当たり前。日本酒の醸造で使われた桶を、味噌や醤油に再利用するのが一般的だったそうです。しかし戦後、酒業界が衛生面を考慮してタンクへ移行していく中、醤油蔵もその流れに追随。結果、木桶を使う蔵は激減しました。

そんな中でも足立醸造では、代々受け継がれてきた木桶を大切に使い続けています。

大豆を蒸す作業から充填(瓶詰め)まで一通りの説明を受けましたが、実際に見る熟成室は、圧巻の一言。何十年と使い込まれた桶の存在感と、そこに生きる菌たちがぶくぶくと動いている様子も、なんとも神秘的な空間でした。菌たちのエネルギーまで肌で感じることができました。

足立醸造

また、足立さんの今後も木桶を増やし次世代に残す発酵文化の伝承と、伝統産業を若手で盛り上げていきたいという思想が印象的でした。

これからの発展も楽しみな蔵元です。

ムソーの「国産有機濃口醤油」ができるまで

このたびムソーと足立醸造が手を取り、昔ながらの製法を大切にしながら生まれたのが、「国産有機濃口醤油」です。

足立醸造

使用する原料は、国産の有機丸大豆・有機小麦、そしてオーストラリア産の天日塩のみ。2022年に新設されたオーガニック専用の熟成蔵で、2024年3月から木桶での仕込みがスタートしました。発酵・熟成を経た醤油は、搾る工程も自然の力にゆだねて「自然垂れ」。雑味を取り除き、まろやかで奥行きのある味に仕上がります。

まさに、一から作っているからこそ、味わいにオリジナリティがあるとのこと。

日々の食卓に、伝統のやさしさを

木桶仕込みならではのふわっと広がる香り、塩味とうま味のバランスの良さ。シンプルな料理にこそ、その違いがはっきりと感じられますよ!

おすすめは、かけ醤油としてそのまま味わうこと。お刺身や冷ややっこ、焼きおにぎりなどにもぴったりです。もちろん、煮物や炒めものなど毎日の料理にも幅広く活躍してくれます。

100年以上にわたり受け継がれてきた木桶の力と、農家さんの顔が見える原材料を使い、丁寧に造られた渾身の一本。ぜひご家庭でも、このやさしい味わいをお楽しみください!